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Pertronix Ignitor・トラブルシューティング

お車のエンジンがかからない、スムーズに回転があがないなどのトラブルについての解説ページです。トラブルを解決する為には一つずつ問題を切り分けて、一つずつ原因を探り当てる必要があります。焦らず冷静に、着実に根気よく突き止めましょう。


エンジンがかからない
エンジンはかかるが全然吹けない、アイドリングが安定しない


Pertronix IGNITOR 動作テスト方法

もっとも簡単にIGNITORの動作テストをする方法を御案内します。

エンジンがかからない場合、配線の間違いの可能性も考慮にいれ、図のように最もシンプルな配線でコイルをつなぎ、コイルに直接プラグコードを刺し、スパークプラグをエンジンブロックの上に置いてプラグの金属部分がエンジンブロックに触れるようにします(←ここが重要)。

イグニッションスイッチをオンにし、エンジンをクランキングしますとIGNITORが正常に働いていればプラグに火花が飛びます。クランキングを終えたらすぐにイグニッションスイッチをオフにして下さい。

尚、このテストは一次側抵抗値1.4Ω以上のコイルで行って下さい。(例:自動車メーカー純正コイル、Flame thrower 40,000V coil、 アクセルスーパーストックコイル、Boschブルーコイル、Boschレッドコイル等。)MSDブラスターコイルシリーズやワコーテクニカルのコイル等は抵抗値が低すぎる為IGNITORが破損する可能性が高くなります。IGNITOR2の場合のみ、どんなコイルで行っても大丈夫です。







また、車外に外したデスビに実装してテストする場合、図のように配線します。
・デスビ本体とスパークプラグの金属部分をバッテリーマイナスに繋げる
・IGNITORの黒コードをコイルのマイナス端子に繋げる
・コイルの+端子をバッテリープラスに繋げる

準備が整いましたらIGNITORの赤コード(IGNITOR本体に電源を与えるコード)をバッテリープラスに繋ぎます。

デスビのシャフトを回転させます。正常であればスパークプラグに火花が飛びます。

回転を止めたらすぐに赤コードをバッテリーから外します。



火花が飛ばなかった場合、以下のいずれかの原因が考えられます。
・IGNITORが破損している
・コイルが破損している
・電源電圧に問題がある
・どこかにアース不良がある

IGNITOR本体が故障していないか調べる為に、こちらこちらの方法でIGNITOR単独のテストを行って下さい。


これらのテストでIGNITORが正常に働いていても、車輌にとりつけた時にエンジンがかからないという場合、車輌になんらかの問題がありま す。考え易いのは以下の3つです。

1.配線間違い
2.電圧降下
3.アース不良
4.進角が遅れている


<<配線間違い>>
そんな馬鹿なと思われがちですが、実に多いのが配線間違いです。特に外部抵抗器を使用する配線の場合、抵抗器のどちらの端子にIGNITORの赤コードを繋ぐかが非常に重要です。イグニッション電源が繋がっている端子に赤コードが繋がっていれば間違いなくIGNITORに12Vが供給されますが、まちがって逆側の端子に赤コードを繋いでしまいますとIGNITORには半分の6Vしか供給されませんのでIGNITORは作動しませせん。

<<電圧降下>>
停止状態でバッテリー電圧が12ボルトあっても、スターターを回した時には電圧はぐっと落ちます。IGNITORは半導体部品ですので約8V以上供給されていないと作動しません。バッテリーが弱っていると起こる症状です。


<<アース不良>>
非常に多いケースはアース不良です。アース不良がありますとIGNITOR赤コードに電源電圧の供給が足りなくなり、IGNITORが正常に動作しませ ん。

IGNITORをデスビに装着した状態で、ベースプレートとバッテリーマイナス間の抵抗値をデジタルテスターで測定します。もちろん本来0Ωでなければいけませんが、0.3Ω以上抵抗があった場合、アース不良が起こっています。アナログテスターではこのあたりの微細な抵抗値が読めないので必ずデジタルテスターで行って下さい。

0.3Ωは一見非常に小さな値に見えますが、IGNITORのような高速でスイッチング動作を行う電子部品から見ると時に非常に大きな問題となることがあ ります。叉、2Ω、3Ωの単位で抵抗があった場合、かなり悪性のアース不良です。Ignitorは赤いコードから12Vの電圧を供給されて作動しますが、抵抗値があるとそこで電圧をくわれ、IGNITORに供給される電圧が低くなってしまい、Ignitorが作動しないということが起こります。ベースプレートとバッテリーマイナス端子間で抵抗がある場合、つまりそれは

デスビ 〜 エンジンブロック 〜 エンジンマウント叉はアースケーブル 〜 ボディアース 〜 アースケーブル 〜 バッテリーマイナス端子

とつながっていくマイナス経路の接点のどこかに、金属同士の接触面に酸化被膜やサビによる導通不良が起こっていると考え、これを完全に0Ωになるよう、接続されているコードの端子を磨いたり交換したりすることで復旧させます。

尚、きちんとアース不良を解決するにはアーシングはかえって答えを遠回しにしますのでお勧めできません。アーシングはアーシングポイント自体には有効ですが、アース不良を起している場所が特定できなければ根本的に解決になりません。例えばデスビとエンジンの接合部でアース不良が起こっていた場合、エンジン本体をいくらアーシングしたところでデスビのアース環境は改善されません。アーシングしたことによって「アーシングしたから大丈夫なはず」という無意味な安心素材も生まれ、これも正確な判断の邪魔になります。近道をしようとせず、きちんと地道にトラブルの芽をみつけ、解決することをお勧めします。何万円もするアーシングキットに大金を払うより100分の1の金額で改善出来るはずです。

また、エンジンはかかって走行はするが、ある程度走るとエンジンが止まってしまいかからなくなる、しばらく置いておくとまたかかる、が走るとそのうちまた止まる、という状態を繰り返すトラブルの場合、エンジンが冷えている場合には抵抗値が小さく、エンジンが熱をもつと抵抗値が増えてきてIgnitorに供給される電圧が低下してしまいIgnitorの動作が止まってしまうやはりアース不良を原因とするトラブルで、ホンダのS600/800等で時々見られる症状です。この症状を持つ車輌の場合、冷間時にいくら抵抗値を測ってもエンジンが冷えた状態では検知されないのでたちが悪く、エンジンが十分暖まった状態でエンジンを切ってデスビ内部の台座とバッテリーマイナス間の抵抗値を測定しなければ検知出来ません。改善策としては同様にアース経路の改善しかありませんが、車全体のことはひとまず置いておき点火に重要なデスビまわりだけでもとりあえず改善させるという方法を
こちらにご紹介致します。

<<進角の遅れ>>
デスビによっては、ポイントからIGNITORに交換すると点火タイミングが遅れてしまうものもあるようです。デスビを進角方向に少し動かすとあっさりエンジンがかかった、というケースも報告されています。




※イグニッションコイルやデスビを使用せず電気テスターだけでテストする方法もあります。こちら