Pertronix Ignitor・トラブルシューティング
お車のエンジンがかからない、スムーズに回転があがないなどのトラブルについての解説ページです。トラブルを解決する為には一つずつ問題を切り分けて、一つずつ原因を探り当てる必要があります。焦らず冷静に、着実に根気よく突き止めましょう。
エンジンがかからない
- エンジンがかからないという場合、点火系のトラブル以外にもキャブレターや燃料ポンプなどの燃料周りのトラブルの可能性もあります。まずは点火系の問題なのかどうか切り分けるために、まずはIgnitorの動作テストを行ってください。このテストで点火が確認された場合、点火系以外のどこかに問題があることになります。
- エンジンはかかり普通に走ったが、ある程度走ったら急にとまってしまってエンジンがかからない、しばらく置いておいたらエンジンはかかったが、走っているうちまた止まってしまった、というトラブルも時々ご報告頂き、ポイントに戻したら正常なのでIgnitorが不良品だというクレームも頂くことがございます。このトラブルはメーカーも認知しており、Ignitorの不良ではなく、お車のアース不良の原因によるトラブルです。詳しくはこのページの下の方にある「アース不良」の項目をご覧下さい。
エンジンはかかるが全然吹けない、アイドリングが安定しない
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Ignitorの取り付け位置を間違えていませんか?ジムニー用Ignitorをお買い上げのお客様に非常に多い例です。ジムニー用のIgnitorは180度反対向きにも取り付け出来てしまいます。本来ポイントがついていた位置に向かい合うように装着するのが正しい装着位置なのですが、取り付け解説ページをきちんとお読み頂けないお客様がポイントと同じ位置に取り付けてしまい、エンジンが吹けないとお怒りのお電話をかけてらっしゃることが毎週のようにございます。ご案内さし上げたメールや解説は必ずお読み下さい。
- 配線間違いによる不調も非常に多く、外部抵抗器を挟んだ配線の場合にIgnitorの赤コードを繋ぐ場所を間違えてしまうケースをよく伺います。Ignitorの赤コードはIgnitorモジュールに12Vの電源を与えるコードですが、抵抗器の逆側の端子につないでしまいますとIgnitorには6Vしか供給されず、まともに動作致しません。よくご確認下さい。
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又、デスビを外してIgnitorの取り付けをされた場合、外す前とはローターシャフトがずれた位置でデスビを取り付けてしまったという場合もこのような症状になります。デスビを外されます際には、必ずクランクプーリーを圧縮上死点(TDC)にあわせ、デスビのシャフトの向きもはっきりわかる位置に記録してから外してください。
- バキューム進角装置はちゃんと働いていますか?時々外してしまう方がいらっしゃいますが、バキューム進角装置は非常に意味のある装置です。これを外すと点火時期ではなく点火位相が狂ってしまいます。
- ごく稀にですが、マグネットスリーブに内蔵されているマグネットが、工場で製造される過程で誤って裏向きに内蔵されてしまっている場合があります。皆様ご存知の通り、磁石というのは必ずN極とS極が対になっており、表側がS極の磁石なら必ず裏側がN極になっております。IgnitorモジュールはS極の磁束を検知して作動しますので、マグネットスリーブはポイントカムの山に当たる部分に磁石がS極を表側にして配置される構造になっており、各シリンダーごとこの磁束を検知して点火されます。もし間違ってN極側が表に向いて内蔵されておりますと、そのシリンダーだけ火が飛ばないということが起こります。この症状を確認するには、各プラグの火花を実際に見てみるか、タイミングライトを各プラグコードに繋げて調べるなどの方法があり、確認された場合にはマグネットスリーブをカム山一つ分ずらして装着してみますと火が飛ばないシリンダーも同じように移動してきます。これが確認出来ますれば明らかにマグネットスリーブが不良品であると断定出来ます。当店までご返送くださればメーカー保証規定により新しいスリーブをお送り致します。
Pertronix IGNITOR 動作テスト方法
もっとも簡単にIGNITORの動作テストをする方法を御案内します。
エンジンがかからない場合、配線の間違いの可能性も考慮にいれ、図のように最もシンプルな配線でコイルをつなぎ、コイルに直接プラグコードを刺し、スパークプラグをエンジンブロックの上に置いてプラグの金属部分がエンジンブロックに触れるようにします(←ここが重要)。
イグニッションスイッチをオンにし、エンジンをクランキングしますとIGNITORが正常に働いていればプラグに火花が飛びます。クランキングを終えたらすぐにイグニッションスイッチをオフにして下さい。
尚、このテストは一次側抵抗値1.4Ω以上のコイルで行って下さい。(例:自動車メーカー純正コイル、Flame thrower 40,000V coil、
アクセルスーパーストックコイル、Boschブルーコイル、Boschレッドコイル等。)MSDブラスターコイルシリーズやワコーテクニカルのコイル等は抵抗値が低すぎる為IGNITORが破損する可能性が高くなります。IGNITOR2の場合のみ、どんなコイルで行っても大丈夫です。
また、車外に外したデスビに実装してテストする場合、図のように配線します。
・デスビ本体とスパークプラグの金属部分をバッテリーマイナスに繋げる
・IGNITORの黒コードをコイルのマイナス端子に繋げる
・コイルの+端子をバッテリープラスに繋げる
準備が整いましたらIGNITORの赤コード(IGNITOR本体に電源を与えるコード)をバッテリープラスに繋ぎます。
デスビのシャフトを回転させます。正常であればスパークプラグに火花が飛びます。
回転を止めたらすぐに赤コードをバッテリーから外します。
火花が飛ばなかった場合、以下のいずれかの原因が考えられます。
・IGNITORが破損している
・コイルが破損している
・電源電圧に問題がある
・どこかにアース不良がある
IGNITOR本体が故障していないか調べる為に、こちらこちらの方法でIGNITOR単独のテストを行って下さい。
これらのテストでIGNITORが正常に働いていても、車輌にとりつけた時にエンジンがかからないという場合、車輌になんらかの問題がありま
す。考え易いのは以下の3つです。
1.配線間違い
2.電圧降下
3.アース不良
4.進角が遅れている
<<配線間違い>>
そんな馬鹿なと思われがちですが、実に多いのが配線間違いです。特に外部抵抗器を使用する配線の場合、抵抗器のどちらの端子にIGNITORの赤コードを繋ぐかが非常に重要です。イグニッション電源が繋がっている端子に赤コードが繋がっていれば間違いなくIGNITORに12Vが供給されますが、まちがって逆側の端子に赤コードを繋いでしまいますとIGNITORには半分の6Vしか供給されませんのでIGNITORは作動しませせん。
<<電圧降下>>
停止状態でバッテリー電圧が12ボルトあっても、スターターを回した時には電圧はぐっと落ちます。IGNITORは半導体部品ですので約8V以上供給されていないと作動しません。バッテリーが弱っていると起こる症状です。
<<アース不良>>
非常に多いケースはアース不良です。アース不良がありますとIGNITOR赤コードに電源電圧の供給が足りなくなり、IGNITORが正常に動作しませ
ん。
IGNITORをデスビに装着した状態で、ベースプレートとバッテリーマイナス間の抵抗値をデジタルテスターで測定します。もちろん本来0Ωでなければいけませんが、0.3Ω以上抵抗があった場合、アース不良が起こっています。アナログテスターではこのあたりの微細な抵抗値が読めないので必ずデジタルテスターで行って下さい。
0.3Ωは一見非常に小さな値に見えますが、IGNITORのような高速でスイッチング動作を行う電子部品から見ると時に非常に大きな問題となることがあ
ります。叉、2Ω、3Ωの単位で抵抗があった場合、かなり悪性のアース不良です。Ignitorは赤いコードから12Vの電圧を供給されて作動しますが、抵抗値があるとそこで電圧をくわれ、IGNITORに供給される電圧が低くなってしまい、Ignitorが作動しないということが起こります。ベースプレートとバッテリーマイナス端子間で抵抗がある場合、つまりそれは
デスビ 〜 エンジンブロック 〜 エンジンマウント叉はアースケーブル 〜 ボディアース 〜 アースケーブル 〜 バッテリーマイナス端子
とつながっていくマイナス経路の接点のどこかに、金属同士の接触面に酸化被膜やサビによる導通不良が起こっていると考え、これを完全に0Ωになるよう、接続されているコードの端子を磨いたり交換したりすることで復旧させます。
尚、きちんとアース不良を解決するにはアーシングはかえって答えを遠回しにしますのでお勧めできません。アーシングはアーシングポイント自体には有効ですが、アース不良を起している場所が特定できなければ根本的に解決になりません。例えばデスビとエンジンの接合部でアース不良が起こっていた場合、エンジン本体をいくらアーシングしたところでデスビのアース環境は改善されません。アーシングしたことによって「アーシングしたから大丈夫なはず」という無意味な安心素材も生まれ、これも正確な判断の邪魔になります。近道をしようとせず、きちんと地道にトラブルの芽をみつけ、解決することをお勧めします。何万円もするアーシングキットに大金を払うより100分の1の金額で改善出来るはずです。
また、エンジンはかかって走行はするが、ある程度走るとエンジンが止まってしまいかからなくなる、しばらく置いておくとまたかかる、が走るとそのうちまた止まる、という状態を繰り返すトラブルの場合、エンジンが冷えている場合には抵抗値が小さく、エンジンが熱をもつと抵抗値が増えてきてIgnitorに供給される電圧が低下してしまいIgnitorの動作が止まってしまうやはりアース不良を原因とするトラブルで、ホンダのS600/800等で時々見られる症状です。この症状を持つ車輌の場合、冷間時にいくら抵抗値を測ってもエンジンが冷えた状態では検知されないのでたちが悪く、エンジンが十分暖まった状態でエンジンを切ってデスビ内部の台座とバッテリーマイナス間の抵抗値を測定しなければ検知出来ません。改善策としては同様にアース経路の改善しかありませんが、車全体のことはひとまず置いておき点火に重要なデスビまわりだけでもとりあえず改善させるという方法をこちらにご紹介致します。
<<進角の遅れ>>
デスビによっては、ポイントからIGNITORに交換すると点火タイミングが遅れてしまうものもあるようです。デスビを進角方向に少し動かすとあっさりエンジンがかかった、というケースも報告されています。
※イグニッションコイルやデスビを使用せず電気テスターだけでテストする方法もあります。こちら。